人生90年を逆算して考える

先日読んだ田村耕太郎氏著の
君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?」について、
ちょうど講演する機会があるというので早速聞いてきました。

彼の講演で、僕の心に残ったのは
「人生150年の時代がくる」
「逆算して考える」
「最悪のシナリオを想定しておく」
「個人ブランドを構築する」
といった言葉です。
彼の講演を聞いた後、数日間いろいろと自分の考えを整理していのたですが
上記のキーワードがヒントとなって、これまで自分の中にあった
説明しきれない違和感がクリアになりました。

それは「老後の備え」という幻想です。
保険会社から老後に備えて年金保険の加入をすすめられる事があったのですが
これまで、どうしても年金保険を支払おうという気になれませんでした。

整理して考えてみれば、それは自分が老後は年金をもらって
働かずに不自由のない暮らしができると信じていないからでした。
今の日本の年金制度は破たんが近づいてきており
早急な改革が必要であることは多くの日本人が認識しており
その改革が遅々として効果を発揮していないにも関わらず
老後に関するビジネスやサービスが公的年金制度を前提としているのに
とっても違和感を感じていたわけです。

田村さんの話を聞いて考えを整理したことで
自分が老後と呼ばれるようになる時代においては
年金で暮らせるという状況自体が甘い見通してであって
最悪の状況として年金制度が崩壊して死ぬまで働かなければない
という覚悟をしておくべきだいう点がクリアになりました。

死ぬまで働くという事を考えると、
途端に「終身雇用制度」が絶対に存在しない制度だという事になります。
僕の知っている限り、実運用として定年制が無く
何歳になっても働けるだけ働ける会社というのは
極めて珍しい会社で、多くの会社で定年制があります。

今現在、僕が働いている会社にももちろん定年制があります。
となれば、60歳の定年になれば自動的に会社を解雇されるわけで
そのあとの15年~30年は別の何かをして
収入を確保しなければならないわけです。

ということは、当面転職の予定のないサラリーマンであっても
転職する前提で、死ぬまでどう働くということを
80代から逆算して考えていかなければならないということです。

で、僕が考えるところとしては
まず60歳で定年を迎えてから新しい何かを始めるというのは
周囲の評価以上に本人のエネルギーとして難しいと感じています。
60を過ぎてから新しい事を難なく始められる人というのは
これまでも新しい事にチャレンジし続けてきていて
新しい事へのチャレンジそものがチャレンジで無い人だという事です。

となると、それまでサラリーマンとして同じ会社で
ずっと40年近く働いてきた状況で新しい仕事を始めるというのは
実はとってもリスクの高いことのような気がしています。
60歳の人材を新しく採用しようとなってくれるとしたら
それは経営者であるか、特筆した実績がある人だけかと思います。

今の会社で経営層にまで出生する望みがある
あるいは個人ブランドを構築できる仕事に携わっているならば
定年まで同じ会社に居続けるということも選択肢になりますが
そうでないならば、もっと早い段階で仕事を変えて
少なくとも60歳を過ぎても同じ環境で働き続けられる
という環境を用意しておく必要があるのではと感がています。

じゃあ、それが今すぐか?と問われると
それもまだ早いんじゃなかろうかと考えています。

これは僕個人の話になってしまいますが、
今すぐ転職しようと思えば、転職することは出来ます。
でも、それは今と同じような条件であって
定年のある雇用であることには間違いありません。

会社を辞めるというのは大きなリスクを伴うわけですから
辞めるからには定年のない仕事を持てる見通しが必要です。
じゃあ、定年を無くすには何が一番いいかと考えると
やはり個人ブランドを築き上げて、バイ・ネームで仕事を採れる事
どこの組織に属していようが、僕という人間を信頼して
仕事を発注してくれる人を増やすことが大切と感じています。

幸いにも、今の自分のポジションというのは
仕事をしつつ自分を売り込むチャンスに溢れていますので
まずは目の前のお客様の期待にしっかり応えて
次からは僕を指名で仕事を発注してもらえるように
日々精進することが大切、と当たり前のことを
思い返す事となりました。

君はこんなにワクワクする世界を見ずに死ねるか!?

さて、僕の周囲で話題の
「君はこんなにワクワクする世界を見ずに死ねるか!?」
を読みました。

田村氏の性格がありありと出ているような勢いのある文章で
こちらも勢いいさんで1日で読み終えてしまいました。

結論から言えば、この本は高校生か就職活動の頃に出会いたかった本ですね。
おそらく、ターゲットとなる読者は高校生から若手社員くらいの
将来の日本をしょって立つだろうエリート候補の人たちです。

ちょいちょい、「扶養家族がいればチャレンジできない」とか
「結婚して、子どもが出来て、親が入院してたら」とか
今の僕の境遇をdisってくるあたり、
僕は世界を見ずに死んじゃうのかなと思ったり(笑)

で、この本が言いたいことを要約すると
「東大を卒業して官僚か大企業に就職」という
日本国内のエリート候補に対して
「おいおい、そんなの真のエリートじゃないぜ!?
 世界にはもっともっとハードな世界があるんだぞ」
と国内にとどまることなく世界に羽ばたけよと
発破を掛けている感じでした。

留学するならアメリカのアイビーリーグとかだよ
見たいなことがさらっと書いてあるわけですが、
そこに入学するのこと自体がどれだけ大変かって話しなのですが
少なくとも、この本がターゲットとしている若者は
その程度の入試を「頑張れば」突破出来るレベルの
学力を既に有していることが前提となっているわけです。
僕なんか相手にされていないわけですよ。

というわけで、一歩引いた感じで読んでいたのですが
内容はひどく賛同ができるものでしたので
是非ともエリート候補の優秀な若者たちには
この本に影響を受けて世界を目指してほしいですね。

で、この本はターゲットとしては高校生~新入社員くらいなのですが
本当に読むべきなのは、そんな若者の子どもを持つ親世代だろと思っています。

というのも、今の50前後の人たちからすれば
子どもが「オレ、ハーバードへ行く」とか言い出したら
「冗談は止めて、まっとうに東大へ行け」
って言っちゃいそうじゃないですか。
そうじゃなくて、「よし、がんばれ!」って応援してあげて欲しいですよね。

最後に、田村氏のようなエリート階層の「世界」ではないですが
日々の仕事で世界を感じている一サラリーマンとしては
田村氏の知っている「世界」とは異なった「ワクワクする世界」もあるよ
と言いたいですね。

そこは「訛のひどい拙い英語」と「国内では通用するスキル」と
「ワークライフバランスとビジネスキャリアの両立に悩む人々」が住んでいて
お互いに英語のコミュニケーションに苦労しつつ
そんな苦労をするからこそ連帯感も生まれたりして
ワクワクしながら活動できる世界なんです。

エリート階層でもなく、NPOが支援するような貧困層でもない
普通の人たちが普通に生活する「世界」も楽しいので
そういった楽しさを僕も何かの機会に
若者に伝えていけたらいいなぁ。